第5章 スパイ #7



「じゃあ、ここでちょっと、整理してみようか」

 秋生が丸テーブルに広げたノートには、『ナゾのスパイ集団・ネバーランド』と題して、何やら色々書き込まれていた。バンドの名前の時もそうだが、何かあると秋生はいつも、こういう資料を作りたがる。

 正式名称:NEVERLAND
      HAPPY TOMORROW〜for our children〜
 URL:http://neverland.…………/


 春樹は感心したように、ノートをパラパラめくる。
「オマエってホント、マメだよなぁ……いつの間にこんなの作ったの?」
「ハルがケイトとゲームしてた時に……って、そんなことは今どうでもいいから!!」
 秋生はノートを取り返し、白紙のページに、こう書き込んだ。

 7月1△日 カスミちゃん、ピアノの先生からピンクのウサギのヌイグルミをもらう。 
 7月1☆日 ヌイグルミに小型カメラが入っていたことが判明。
 すでに破壊されていたが、昨日は、隠し撮りされていた可能性大。


「……『隠し撮りされていた』……」
 最後の文に、霞は大きく動揺した。
「……ねぇアキオくん、それって『カメラを壊す前』ってことだよね?」
「……これが普通のビデオカメラなら、テープとかディスクごと壊れたと思うけど……」
 残念ながらこれはワイヤレスカメラなので、カメラ本体を壊しても、それ以前に送られた映像までは壊せないのだ。
「つまり……受信機を持っている誰かが、すでに見ているかもしれないよね」「……受信機を持っている誰か……」
 巳咲は少し、考えた。普通に考えて、受信機を持っているのは、ヌイグルミの贈り主と思われるが……。

 ピアノの先生からピンクのウサギのヌイグルミをもらう。

「……でも何か、つじつまが合わないよね」
 ピアノの先生、の箇所を指差すと、秋生は大きく頷いた。
「確かにね、ピアノの先生が生徒を盗撮して、何のメリットあるんだろうね?」
 そう、納得がいかないのは、そこである。学校の先生だって、「生徒のプライベートまで面倒見てられるかよ」とか思ってそうなのに。
「……ただの趣味なんじゃないの?」
 どうでもよさそうに、霞は大きくため息をついた。
「あのババア、ピアノ弾いてる時も、いっつもビデオ回してるし」
「……なるほど」

 ピアノの先生は、盗撮が趣味!? 実際、レッスン中もビデオを回している。

「『なるほど』じゃ、ねぇだろ!!」
 珍しく珪人がツッコんだので、思わずみんな、固まった。
「オマエら、本当にバカすぎ」
 珪人はイラ立ちのあまりシャープペンの芯を何度もブチブチ折りながら、ノートに大きな文字で、こう書いた。

 クサレババアは、カスミの親とグル。

posted by レイジ・レーベル at 20:52 | Comment(0) | TrackBack(0) | 第5章 スパイ
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