第1章 熱帯夜 ♯4



 しかし!
 薄明かりの中に待っていたのは、何ともお粗末な光景だった……。

 部屋の奥にはホンノリと、四角い物体が青白い光を放っている。そしてそれをさえぎるような二つの人影……何やら見覚えのあるシルエットの……。

 要するに、巳咲のパパとママが、テレビを見ていただけだった。

 ああ、またくだらないことのためにムダな時間とパワーを費やしてしまったよ……。せっかくメールまでしたのに、またバカにされんじゃん。思い込みで突っ走る性格のおかげで、巳咲の人生は、その繰り返しである。
 せめて何を見ているかは、一応確認しておこう。テレビ見てただけじゃ、オチとしては弱すぎる。だいたい何でこんな時間に明かりもつけず、まるで隠れるように見ているのか。

 まさか。エロビデオで気分を盛り上げてから……なんてオチじゃないよね。

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posted by レイジ・レーベル at 00:49 | Comment(0) | TrackBack(0) | 第1章 熱帯夜

第1章 熱帯夜 ♯3



 ♪誰が止めても君は行くよね その瞳を緋色に染めて

 テーマソングは、マーブル・クエーサー(最愛の照くんが歌うバンド)のデビュー曲、『緋色』!! 『緋色』が『ヒーロー』に聞こえるように、心の中で歌うのだ!!

 ♪ねえ 眩しすぎるよ 走り抜ける 緋色……

 ……ヒーロー!! キャー照くんステキ!! って、盛り上がっている場合ではない。

 巳咲は二本足で歩く猫のように足音も気配すらも消し(たつもりで)、ソロリソロリと廊下を進む。その手に彫刻刀セットと汗を握り……ああウチの廊下ってこんなに長かったっけ? どうやら人はコッソリ歩く時、歩幅がいつもの半分ほどになるようだ。よって体感距離がいつもの倍になる。明日みんなに教えてやろう。

 リビングのドアの前で、再び精神統一。
 さぁ、覚悟しなさいコソドロ野郎! 巳咲は全神経を集中し、戦闘モードに入った。体中にみなぎるオーラ、ねえ眩しすぎるよヒーロー!!

 そう、私は緋色のオーラに包まれたヒーロー、この街の平和は私が守る。

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posted by レイジ・レーベル at 10:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 第1章 熱帯夜

第1章 熱帯夜 ♯2




「もしドロボーだったら、生け捕りに決まってんじゃん!」
 お化けなら生け捕りは無理だけど(つーか死んでるし)、ドロボーなんか所詮人間じゃん? いざとなったら闘うし! 小学生だからってナメんなよ!? 夢での熱いバトルが蘇り、枕をサンドバッグに殴る蹴る。
「……そうだ、パパのライフルを借りよう」
 撃ったことないけど、それ以前に今やただのインテリアだけど、本物だからハクはつく。
 巳咲はふと、ある友達の言葉を思い出した。

「シロートが凶器持つとヤクザでも引くらしいぜ。シロートは限度知らねーからな」

 ハルもたまには実用的なこと言うじゃん。しかもガキはますます限度知らねーよー♪ 見直しついでに、このスリルなニュースをメールしてやろう。
 さぁジェニファー(ケータイの名前)、出番よ!

【超スリルなニュースだぜexclamation×2 今からドロボーを退治するパンチ ミサキは地元のヒーローさぁぴかぴか(新しい)

 送信♪ 生け捕りしたらドロポー写メールしてやろう、うしし。

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posted by レイジ・レーベル at 00:54 | Comment(0) | TrackBack(0) | 第1章 熱帯夜

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